日本の北東の地の果て。奇妙な形の「島」がある。上空から眺めるとさらに不思議。その名の由来は形が似ている「鯨のあご」だ。(文・玉置太郎、写真・長島一浩)
北海道の東端にある野付(のつけ)半島(別海町・標津町)は全長26キロ、日本最大の「砂嘴(さし)」だ。海流で運ばれた砂が、約3千年かけて積もって生まれた。
鯨のあごに似た形から、アイヌ語のノッケウ(あご)に由来する名が付いたと言われる。希少な鳥、花の宝庫でもある。約260種類の野鳥が確認され、200種以上の花が咲く。
野付半島ネイチャーセンターの専門員、中塚智子さん(52)は「7月は辺り一面お花畑になる、一番きれいな季節」と言う。11年前からセンターで働く。「どこまでも平坦(へいたん)で、360度見渡せる『地の果て』のような風景は、他にはない」
しかし、半島は地盤沈下が進んでおり、やがて現在の形ではなくなる。国土地理院の三角点調査では、2004年までの100年間で1・4メートルの沈下が確認された。
トドマツ林が海水に浸食されて枯れた「トドワラ」も、沈下が生んだ奇観だ。有名アーティストの音楽ビデオでも撮影されたが、ここ10年、更なる沈下と台風の高波で消滅しつつある。
本社機での空撮中、パイロットが「これ以上は行けない」と口にした。半島の16キロ北東には北方領土・国後(くなしり)島がある。近づき過ぎると、ロシア側とのトラブルになりかねない。
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江戸時代、半島の先には国後と…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル